ピーク輝度が大きく向上。精細感、立体感も飛躍的に進化
比較検証用として、音元出版の視聴室に2010年モデルであるVIERA Gシリーズの50V型「TH-P50G2」と、同シリーズの2009年モデルである50V型「TH-P50G1」の2モデルを用意した。同一条件で比較するため、パナソニックのBDプレーヤー「DMP-BD60」を用意して、HDMI分配機を用いて2台のテレビに並列接続して比較検証した。
キューテックが発売している画質チェック用BD『Hi-Definition Reference Disc』を視聴すると、一見して画質の違いは歴然としている。「シアター」設定にして夜景を撮影した「Tokyo Night」を見ると、絶対的な黒レベルの低下はさほど大きくないものの、ピーク輝度が大きく向上しており、夜景に煌めく光の力強さが増している。
TH-P50G1の映像
TH-P50G2の映像。暗部の沈み込みを維持しながらピーク輝度を高め、より鮮明な映像となっている
その後視聴を続けるうちに、TH-P50G2の、単純に黒の締まりだけに還元できない、画面全体の精密な描写に魅力を感じるようになった。たとえば、ライトアップされた東京タワーの映像の塔脚部の明瞭な描写や、空撮による地上の形式の鮮明さ。1台のBDプレーヤーから分岐した映像の比較の筈だが、まさに1 枚ヴェールを剥ぎ取ったような、見違えるほど緻密な描写に感嘆させられた。
TH-P50G1の映像
TH-P50G2の映像。ディテールをしっかりと描き出していることがわかる。エッジ強調などを行わずに精細さが上がったので立体感も高まっている
色再現性を検証するため、その他のシーンを視聴しても、発色の傾向の変化は小さいながらも、瑞々しいほどの被写体の立体感に目を奪われたほどだ。
BDソフト『ベンジャミンバトン 数奇な人生』を視聴しても、明らかな画質向上が感じられた。チャプター4の冒頭の病院のシーンでは肌の緻密さが増し、影の部分の階調性も高まっていることで全体に映像がギュッと締まった印象だ。
その後の庭のシーン、食事のシーンと視聴を続けても、映像は真に迫るかのような深みで描かれる。物語はその後、テーブルの下の密会に進むが、以前のモデルで暗部に見られたグリーンが抜けて、本機ではほんのわずかに赤みがかる色調となり、漆黒に近い色合いを出しはじめた。”KURO”の高画質思想の一つであった、暗部での色の自然さを受け継がれたことは大いに歓迎したい。
余談になるが、ハイライトまでの輝度の素直な伸びと精密描写に裏付けられた「TH-P50G2」では、より明るい部屋向けの「リビング」設定の完成度が大きく高まっている。本格的な映像は「シネマ」で視聴と思ってしまいがちだが、カジュアルな視聴環境でも高画質の恩恵を受けられる「リビング」モードは、ぜひ試してみてもらいたい。